『芹沢光治良 人と文学』
――評伝と作品案内――
野乃宮紀子著
勉誠出版「日本の作家100人」シリーズで2005年3月末刊行
2,100円(税込み)
2005年3月10日ごろ、校了(予定)
まもなく三校。2005年3月はじめまで
ただいま再校中。2005年1月末まで
ただいま初校中。2004年11月いっぱい?
ごあんない ――「はじめに」より
<文学は もの言わぬ神の意思に 言葉を 与えることだ> と、作家・芹沢光治良は色紙や幾つかの作品に書いている。敬虔な思いを胸に、原稿用紙に向かった作家の真摯な姿が見えてくる一節である。おそらく作家芹沢光治良の心を鼓舞し続けた言葉であったろう。
芹沢光治良の人と、その作品を表すのに、これほど相応(ふさわ)しい言葉はない。なぜなら、芹沢光治良の生涯もその文学の本質も、この言葉が良く言い表しているからである。
……
文学史という枠を超えた独特の普遍性。その作品は古典と呼ばれるに相応しい。この古典とは、もちろん、古いということではない。正道を行くもの、エッセンス、エレガントにしてユニーク、正統派、という意味である。日本の良心、日本のまごころ、日本の知性といっても良い、世界に誇れる文学である。やさしさ・暖かさ・明朗さを持つ知性の文学である。
作品には、人生に対して誠実に生きた人間の軌跡が描かれ、私達がどのように生きたらよいか、という指針がわかりやすい文章で示されている。
その生涯と作品とが渾然一体となり、私達の人生に対する誠実な態度、生命あるものへの暖かいまなざし、人間の使命、生きる勇気といった力を喚起させるのである。
……
しかし、芹沢光治良が人間を幸福に導くようなすぐれた多くの作品を残しながら、一部の愛読者以外に、あまり知られていないのは、実にもったいなく残念なことである。もっと多くの方々に芹沢光治良の人と作品を知って欲しいという思いが、非力な私にペンをとらせた。
……
1996年6月にはじめて芹沢光治良を知り「最愛の作家に出会ったという確信を持つまでに、そう時間はかからなかった」という著者による滋味あふれる解説書。
初版が1000部で早期売り切れも予想されるようです。興味のある方はお早めに! ---->
勉誠出版へ
2005.03.31
も く じ |
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はじめに |
第一部 評伝 芹沢光治良 |
第二部 作品案内 |
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『教祖様』
『海に鳴る碑』
『人間の運命』
『遠ざかった明日』
『神の微笑』
『神の慈愛』
『神の計画』
『人間の幸福』
『人間の意志』
『人間の生命』
『大自然の夢』
『天の調べ』 |
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芹沢光治良 年譜 |
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主要著作目録 |
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芹沢光治良 主要参考文献 |
※ 詳細は適宜更新します
(2005.03.05)
(2005.02.24)
(2005.02.03)
(2004.12.25)
(2004.11.03)
(2004.10.10)
雑 感
この本は、至福な芹沢ワールドのエッセンスを手際よく眼前に繰り広げてくれる格好の入門書、解説書です。読み物としても面白い。
面白いからといって「高級でない」とはいえない。信仰や神について正面から大胆に斬りこんだはじめての評論という【印象】が個人的にはあります(「斬りこむ」というと何やら物騒なひびきがないではないので、たんに論じるとすべきか)。
そして、こういったテーマこそ私(たち?)が <しかるべき人に> もっともきいてみたいことだったのではなかろうか、とも思えてきます。芹沢光治良の文学世界とこのように濃密に共鳴している著者もまた、信仰の人であろうことは容易に想像されるところです。
もう一箇所だけ原文を引用しておきましょう。
神の世界は、型にはめ込もうとするような荒い知性では、捕らえることはできない。この神秘の世界は、繊細にして精妙に研ぎ澄ませた感覚を持たなければ、感じられない。
平安の歌人藤原敏行が『古今集』で「秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる」と歌ったように、自然の微かな風に心を澄ませ、その想いを感じとれるような、優しく繊細な感覚が必要なのだ。
私たち人間の心は、すぐれた人や作品に触れると、感化され、より善い方に引き上げられていくように創られている。理性の扉が開かれ、道が広がり、理解が深まるように感じられる。
芹沢作品を読めるということは、幸運なことである。最も善いものに触れているという確信、最も善いものを知っているという喜び、芹沢作品は、それを感じさせてくれる。
幸福な予言性を持つこれら「神の書」は、私たちから死の恐れを取り去り、死を超えた遥かな未来まで、勇気と希望を与え続けている。(p208)
それにしても、晩年作にたいして著者はつぎのようにいいますが、いやはや、私はいかにいい加減に読んでいるか、ということを反省させれられる厳しいひとことです。<自然体で優しく、読みやすく、分かり易いから、何気なく読み進んでしまう>
けれども「一行もおろそかにできない真理を含む連続体だ」(p107)。
2005.05.28
【リンク】
芹沢光治良記念室へ
講演会 |
『芹沢光治良 人と文学』をめぐって |
講 師 |
野乃宮 紀子 |
会 場 |
東中野・サロンマグノリア |
日 時 |
平成17年5月5日(木曜日)午後2時〜4時 |
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講演原稿は >>>
こちら
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評伝と作品案内
勉誠出版「日本の作家100人」シリーズで近日発売
野乃宮紀子著
※ 詳細は適宜更新します
(2004.10.10)
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